学校のトイレ研究会研究誌28号
2/16

以上に積極的に取り組み始めました。現場で学校の先生や保護者に話を伺うとフルリニューアルは特に好評で、支持されていきました。三嶋 ブースの寸法が決まっているため、単純な洋式化では使いにくくなり、それならフルリニューアルにしようという流れもありました。「トイレをきれいにする」だけでは予算化が難しいケースもあるため、「教育環境の向上」の一環として進めてきた経緯があります。洋式化だけではなく、少しずつレベルアップできたのには、そういった背景があります。小林 渋谷区では、昔は、いわゆる3K(暗い、汚い、臭い)のトイレがほとんどだったのですが、児童・生徒が快適に使用できることを目的に、昭和の終わりからトイレのスケルトン改修に着手し、事を行いました。改修内容は、床は湿式、大便器はフラッシュバルブ。各トイレに1室洋式便器を設置、小便器は中学校が壁掛け式、小学校は床置き式。洗面は手動の水栓という共通の設計を行っていました。当時としては先進的であり、その後も未改修の小・中学校に着手し、トイレの改修は一段落しましたが、平成26年頃より学校から「すべてのトイレを洋式に変えてほしい」という要求が増え、平成30年から、便器の全洋式化工事を行っていました。結果、令和2年までに渋谷区の学校全体の修は補助金を活用することで、予算が通りやすかったようです。豊貞 平成30年頃は、教育環境の改善が進められ、空調設備の整備も行われたと思います。優先順位はあったのでしょうか。三嶋 空調設備は全校まとめて実施することが多く、一方トイレは段階的に少しずつ改修され、年々グレードアップしていく傾向があります。加賀美 トイレの環境をよくしていこうという機運があり、後回しという感覚はなかったですね。加賀美 目黒区では、築年数が経過している校舎が多く、平成26年頃から小・中学校のトイレの洋式化を本格的に進めてきました。平成30年頃から東京都の補助金を活用することで、より一層予算を確保しやすくなり、洋式化からフルリニューアルへとシフトし、「トイレの環境改善」に今まで学校施設のトイレ改修の現状─ まず学校のトイレ改修についてお伺いします。どのような計画で整備を進められているのか、お聞かせください。 ─1渋谷区立代々木中学校*      ©2025 Shibuya City Office All Rights Reserved.目黒区立向原小学校*     ©2025 Meguro City Office All Rights Reserved. 座談会学校トイレの いま、 そしてこれから「これからの学校トイレ」を 未来志向で共に考える学校を取り巻く環境変化とともに、トイレにおいても新たな課題やニーズが生まれています。今回、校舎の建て替えや改修を計画されている自治体の方にお集まりいただき、これからの学校トイレの未来像を探りました。特 集*この資料は、現段階におけるイメージ図です。今後検討の深度化等にあたり変更になる可能性があります。豊貞 佳奈子学校のトイレ研究会会長(福岡女子大学 国際文理学部環境科学科 教授)小林 祐紀 さん渋谷区経営企画部施設整備課機械設備係主査大内 義鷹 さん渋谷区教育委員会事務局教育政策課学校施設整備第三係主任三嶋 聡 さん目黒区資産経営部施設整備課施設整備係係長加賀美 大雅 さん目黒区資産経営部施設整備課施設整備係係長10年程かけて小学校10校と中学校6校の改修工80%以上で洋式化を達成しています。トイレの改

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る