■使うのは障害のある子どもだけではありません
誰でもちょっとした不注意でケガをすることがあり、時には骨折なども起こります。そんなときにも安心してトイレに行くためには補助具が必要となります。
とくに注意したいのは、骨折などは一時的なもので、松葉杖などの使用に慣れていないことです。したがって身体障害者以上に気を配る必要があります。
また、最近では障害があっても、希望されたら学校は受け入れる体勢をとる必要があり、さらには学校施設の地域開放が進んでいるためにも、
トイレにおける補助具の設置は必要欠くべからずのものとなっています。
小便器に設置する手すりにもいくつかのタイプがあります。その選択とともに、入口に近い小便器に設置するのか、あるいは奥のほうに設置するかも検討しなければなりません。使い勝手からは入口に近いほうがよいのですが、手すりがあったり
使用者の動作が緩慢になるため、出入りする他の子どもたちの邪魔にな
ることも考えられます。できるだけ入口に近く、しかもトイレ内の動線が混み合わないような位置の小便器に取り付けるのが理想的です。
また、必要になったら取り付けられるように、しっかりとした下地を用意しておく方法もあります。障害
を持つ子どもが進級するに連れ、器具だけを移動して対応します。
■設置しておくと便利
小便器回りに対する配慮として、
例えば松葉杖を使っていると、持ち物の置き場に困ります。日常的にも音楽や体育などの授業で教室を移動
することもあります。そのときのために荷物を置いたり掛けたりするような棚やフックなどの備品があると、誰にとっても便利です。
●小学校向け手すりモニ
ター調査
(TOTO 調査、2000 年
12 月)
小便器用の手すりの場合、成人用の手すりでは、
かえって子どもが使いづ
らいという状況が多くの
学校から寄せられていま
した。そこで、全国の小・
中学生の平均身長に合わ
せ、各学年1名ずつのモ
ニターにより適正な手すりの幅、長さ、設置高さ
を検証。その結果を踏まえて、子どもの体格に合った、小学校向け小便
器用手すりの形状と推奨
設置位置を考えました。
設置高さは800mm と
850mm とに設定して検証しました。その結果、
低学年では設置高さは
800mm が適正でしたが、全学年利用する場合
は850mm が適正とい
う結果となりました。手
すり幅は、成人用標準品
の600mm に対し、子ども用は550mm。
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小学校向け小便器用手すりの形状と推奨
設置位置。左は適正位置のモデル。 |
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成人用手すりでは、身
体を預ける胸当てが顔
の前にきてしまい、使
いづらい。 |
あると便利なパーツ |
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傘や手提げなどを掛けるためのフック。荷重
を考慮して選択する。 |
壁に取り付ける棚。マグネットが付いており、
使用しないときには折
りたたむことができる。 |
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